2024.05.17

【メディア掲載】「France Sushi Magazine」に淡路島の線香の歴史や取り組みが掲載されました。

【メディア掲載】「France Sushi Magazine」に淡路島の線香の歴史や取り組みが掲載されました。

フランスで発行されている、日本のケータリングを中心に日本文化を紹介する専門誌「France Sushi Magazine 2024 春号」にて、淡路島の線香の歴史や、2025年日本国際博覧会(大阪万博)に向けた兵庫県線香協同組合の取り組みについてインタビュー記事が掲載されました。

____ 以下翻訳全文 ______________________


「線香」という言葉は、しばしばインドを連想させます。しかし、淡路島にある兵庫県線香協同組合の15の工房は、それぞれ独自の方法で国際色豊かな独自の香りを生み出しています。2024年3月7.8日、パリのバスティーユで開催されたイベント「Artisanat du Kansai – 関西の工芸を語る」にて、組合の担当者に会いました。

「Artisanat du Kansai – 関西の工芸を語る」は経済産業省近畿経済産業局が主催。関西12地域のブランドを磨き上げ、海外展開を支援するプロジェクトの一環です。このプロジェクトは4年目を迎え、2025年に開催される大阪・関西万博を見据えています。万博は都市部以外の地域を探索する絶好の機会であり、東京-京都-大阪の観光ルートから外れた「地域」が提供するものにも焦点をあてています。「France Sushi」は、この「地域」の豊かさを紹介するために、出展者のひとりに会いに行きました。

– 淡路島の線香の歴史を教えていただけますか?

その始まりは1850年頃、約170年前に遡ります。製造技術は泉州堺からやって来ました。当時、日本の国際貿易は制限されており、堺のようないくつかの港だけが許可されていました。堺は日本最大の国際貿易拠点であり、淡路島の向かいに位置し、淡路島には交易港である江井浦がありました。しかし、冬季は風が強く海が荒れ、船の航行が困難な日がありました。そこで、江井浦の住民たちは1年を通して安定した雇用創出を求め、堺との交流を通じて線香の製造に着手することにしました。

– 線香の製造方法はどのようなものですか?

原料には香木を主に用います。また、素晴らしい香りを放つ乾燥植物、例えばクローブやシナモンなどを厳選して使用しています。それらを非常に細かい粉末にして水を加え、ペースト状にします。次に、パスタを作るのと同じような機械でこのペーストを通します。この時点ではまだ柔らかいので、しっかり時間をかけて乾かします。江井浦の風は船の進路を妨げましたが、お香の乾燥には最適でした!交易港を持つことも大きな利点であり、原料を簡単に運び、線香を販売することができました。

– 淡路島の線香の特徴は何ですか?例えば、使用される原料は異なりますか?

使用される原料はほぼかわりませんが、淡路島の希少性はまず、その職人の密度にあります。皆が隣人ですが、それぞれの工房でそれぞれのお香を製造しています。私たち協同組合には15社が参加しています。私たちは同じ場所で育ったのでとても仲が良いです。これは珍しいことでしょう。各人が日々、ユニークで革新的な線香を作るために一生懸命取り組んでいます。他の地域と比較して、この新しさの追求は特に重要です。

– 製造技術はどのように伝承されていますか?

私たちは常に家族経営の工房でした。レシピは各家庭で秘密に保持され、外部の人間では理解できないよう保持されています。また、他の工房に立ち入ることすら禁じられています!

– なぜ協同組合を形成することになったのですか?

個々の工房では不可能なことがあります。競争だけの関係、私たちはそれを解消したかったのです。協力することで、例えば、淡路島の線香を海外に広めるためのさらなる可能性が得られました!

– 今日フランスで披露する作品をどのように考えましたか?

20年前から、ここフランスで我々の線香を披露し始めましたが、当時、日本の線香はほとんど知られていませんでした。そのため、フランスの人々の嗜好に寄り添い、全く新しいものを作ろうとしました。その結果、この「Le Mariage(https://awaji-encens.jp/le-mariage/)」コレクションが生まれました。フランスの人々は個人的に訴えかける香り、ユニークで物語があるものを好む傾向があることに気付きました。一方、日本人はそれほど気にしないかもしれません。そのため、お香を焚くと物語が浮かび上がるような香りを作りました。それぞれの線香は、香りのインスピレーションを受けた実在の人物の名前が付けられています。それを嗅ぐことで、彼らの人生、顔、年齢、好きな料理などを想像する楽しみがあります。これからも複雑なニュアンスの香りを開発できたら嬉しいです。

– 過去20年間、フランス市場の変化についてどう思いますか?

最初、多くの人々は私たちの線香を全く知らす、ごくわずかに興味を持つ人がいる程度でした。2017年以来、Maison & Objetに参加して多くのことを学び、市場参入がどれほど難しいかということに気付かされました。フランス人が「線香」と聞くと、彼らは主にインドやチベットを思い浮かべますが、私たちの製品は少し異なります。そのため、日本の線香の特徴をフランスのユーザーに伝える方法を時間をかけて研究しました。これは困難でしたが、フランス人が最も楽しむことを考えることが最も重要であることを理解する機会でもありました。この研究とさまざまな協力のおかげで、日本の線香はますます知られるようになりました。昨年、その認知度には驚かされました。私はとても幸せで、線香をより気軽にお使いいただけるようにしたいと考えています。現時点では、まだ線香を購入できる場所が少ないですね。

– まだ知らない人々に対して、日本の線香と他との違いをどのように説明しますか?

説明するのは少し難しいですが、まず最初に、使い方の違いがあります。日本の線香は、アロマキャンドルやディフューザーと似た役割を果たします。一方、例えばインドの線香は宗教的な意味が重要であり、多くの煙を出しますが、実際には香りを楽しむことは目的ではありません。同じ形状や使用方法をしていても、目的が異なります。これまでディフューザーを使用していた多くの人々が、日本の線香が特に香り高く、気に入っていると言ってくれます。香りに加えて、私たちは煙の形や灰の色、落下速度にも注力しています。すべてを計算し、見た目が美しく、発見した人々に驚きを与えるようにしています。これは私たちにとって非常に重要です。

– あなたは、フランスやアメリカなどのいくつかの外国企業とのコラボレーションを行っていますね。それらはどのようにして生まれますか?

いつも偶然です!(笑)おおくは展示会に参加することで、非常に自然な形でパートナーに出会います。たとえば、アメリカの展示会では、私たちは非常に疲れ果てていたので、ちょっと休むためにブースを離れました。そこで、現在最も重要なフランスのパートナーが通りかかり、私と目が合い、話し始めました。ただそれだけです!(笑)

– それらのコラボレーションはどのようなものですか?

私たちは、ブランドと協力して、私たちの技術と彼らの香りのアイデアを組み合わせます。これは香水のようなプロセスですが、線香の製造はさらに複雑です。そこで私たちが伝統的な技術と経験を活かし、両者の精神を融合させた新しい製品を作り出します。もちろん、それには時間がかかります。最低1年、最長で3年かかりました。両者が合意しない限り、何も進めません。それがコラボレーションの出発点です。フランスのお客様は私たちと私たちの仕事に対して非常に敬意を払ってくれていますので、本当に熟慮された完成品を作り上げるため、十分な時間をかける価値があります。

– あなた方の線香を特に使うのはどんな人たちですか?

フランスの展示会に出展する度、本当に進化を感じています。これまでお香を好む方々は、とにかく日本が好きで、刀や侍に感心し、作務衣を愛用する人などがいらっしゃいました。しかし、今ではもっと幅広い層が興味を持っています。例えば、Dalloyau創業者の子女にお会いした時、淡路島の線香を気に入って毎日使っていると言ってくれました。また、多くの著名人が使用しているのを知り驚きました!
日本でも他の国と同様、身につける香りはしばしば男性向けと女性向けに分けられますが、性別はあまり意識していません。おそらく、線香がホームフレグランスとして使用されるためかもしれませんが、その意味でナチュラルな香りを好む傾向があります。年齢に関して、日本ではセレモニーに使用する文化があるため、主に年配の方の使用頻度が高いです。しかしここ数年、さまざまなブランドとのコラボレーションにより、フランスではますます私たちを知り始め、年齢層も広がっているようです。フランスでこのような小さなブームが起こっていること自体が、若い日本人たちにとっても線香のイメージを良くしています!

– 「パルシェ香りの館」というテーマパークも運営していますね。

そうです。あらゆる種類の香りに関連した体験プログラムを提供しています。線香だけでなく、その他の香りも含まれます。パルシェがある淡路市は、フランスのグラースと姉妹都市でした。グラースは香水製造で非常に有名な街です。私たちは当時、グラースから精油を抽出するための蒸留器をプレゼントされ、いまもパルシェで展示されています。一部の体験は事前予約が必要ですが、他はそうではありません。

– 2025年の万博は大阪で開催されますが、淡路島からはそう遠くありません。その際に何か計画されていますか?

はい!大阪から1〜2時間の距離に位置しているので、この機会に日本を訪れる人々が当地を訪れることを歓迎します。実際、兵庫県全域でひょうごフィールドパビリオンという観光プログラムの準備が進められています。180か所以上の「地域」でさまざまな体験を提供する予定です。兵庫県は広大な地域で、それぞれの小さな地域に独自の特色があります。したがって、私たちのプログラムは淡路島の、特に兵庫県の見どころに焦点を当てます。ぜひお越しください!日本を深く知る機会となり、私たちの工房を訪れることもできます。先ほどあるマダムとお話ししたのですが、特別な場所に足を踏み入れることでまるで異なる世界に入り、ヒーリングのような効果があるとのことです。私たちはそれに気づいていませんでしたが、確かにそうかもしれません。私たちの仕事場であるこの空間に入ることは、非常に特別な瞬間になるはずです。通常は一般に開放されていない場所ですが、このイベントに参加することは周辺地域を訪れる絶好の機会になります。製造現場にできるだけ近づけるようにし、さらには「パスタマシン」を使うことさえできるようにします!時間があれば、私自身が工房を案内します。

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谷本真弓さん と石山暁さんに、取材へのご協力を感謝します。
ありがとうございました。

Artisanat du Kansai – 関西の工芸を語る
日時:2024年3月6日(水)~8日(金)
場所:ATELIERS DE PARIS
30 Rue du Faubourg Saint-Antoine, 75012 Paris
主催者:経済産業省近畿経済産業局地域ブランド展開支援室
コーディネーター:株式会社TCI 研究所

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